2013年06月01日
糖質制限と血圧

ゲーリー・トーベス著「ヒトはなぜ太るのか?」は糖質制限を指導している医師たちからとても高い評価を得ています。
数多くの論文を精査して書き上げられた、信頼度の高い内容で、新しい発見もたくさんあって、最後まで新鮮な驚きで読み通すことができました。
きょうは糖質制限と血圧の関係に触れてみます。
糖質制限を始めると、さほど体重が下がっていないにもかかわらず、血圧が下がってくる人がほとんどです。
このような経験は糖質制限の指導を始めた最初から経験したことなのですが、その理由を理解できないでおりました。
そんな私のモヤモヤをこの本は一気に解決してくれました。
実は、今日やっと読み終えたのですが、最終章を読んでいる時は手足の震えを感じるほど興奮していました。これまで私が悩んできたことや、試行錯誤して苦労してきたことが理論的に説明されていて、目の前の霧が晴れて行く思いでした。
ところで、この血圧問題ですが、やはり犯人はインスリンのようです。
インスリンは血糖を下げる働きのあるホルモンですが、その他にもいろんな働きがあるようです。
インスリンは腎臓に作用してナトリウムの再吸収を促し、その結果血管内のボリュームが増え、血圧が高くなるようです。
逆にインスリンが減るとナトリウムと水が腎臓から排泄されて血圧が下がるのだ。
糖質制限の開始直後に脱力感を訴える人がときどきいるが、インスリンが減ってナトリウムの排泄が増えた時に、ナトリウムバランスを守ろうとして、代わりにカリウムを排泄してしまうことが稀に起こる人がいるらしい。
こんな時はわずかに塩を多めにすることで症状が改善するとのことだ。
人の血圧が体内の水分量を反映しており、塩がその原因であることは重々知っていることだが、まさかインスリンが直接悪さをしているとは知らなかったな。
臨床症状を生理学的にきちんと説明してもらえると、実に気持ちがいい。
最後は心地よい達成感を持って読了することができた。
糖質制限のダイエット教科書:
http://www.amazon.co.jp/dp/4480878645
http://books.rakuten.co.jp/item/12234667/
中部徳洲会病院ダイエット外来医師 今西康次
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