糖質制限実践マニュアル　ダイエット外来の実践ノート

「ダイエット外来の減量ノート」筑摩書房刊
ダイエット外来の患者さんのために書いた教科書を一般公開。
モチベーション維持に有効なノート機能。
ダイエットのコツを簡潔にまとめたテキスト＆ノート。
生活習慣病対策にも効果的。





『飽和脂肪酸に対する意見って分かれるんだよね。』って前回書きました。

私自身は飽和脂肪酸を含む食品も推奨したいのですが、
やはり専門家からのきちんとした見解がないと自信を持って勧めることができません。

前回のblogでは、飽和脂肪酸を積極的に勧める専門家はいるのだが、まだ少数という趣旨の内容を書きました。
残念ながら、多くの専門家や学会は飽和脂肪酸を減らす旨の意見が主流です。



その後もいろいろ調べてみましたが、飽和脂肪酸を肯定する専門家の意見を見つけました。


この資料は12月に出たもので、別の目的で紹介したこともあったのですが、
飽和脂肪酸への見解のことはうっかり忘れておりました。
今回、読み直して、すばらしい意見だと再認識しましたのでご紹介します。


米国デューク大学生活習慣医学クリニックのWestman准教授とYancy准教授へのインタビュー記事で、聞き手は北里研究所糖尿病センター長山田先生です。


このお二人は、米国肥満学会議会長とADAアメリカ糖尿病学会のガイドライン作成委員でもあり、この分野の第一人者です。


詳しくは、医師向けのMTProという新聞記事をご覧いただくとして、重要な箇所だけを抜粋します。


＝＝＝＝ここから抜粋＝＝＝＝

山田 　．．．途中略．．．　飽和脂肪の摂取についてはどのようにお考えですか。

Yancy Jr. 糖質制限を⾏っている⼈たちの最⼤関⼼事ですね。飽和脂肪摂取について，以前は脂肪は悪いプレーヤーで，コレステロールと⼼臓発作を起こすとされてきました。

Westman 私は飽和脂肪を避けるべきとは思っていません。

Yancy Jr. かつて海外7カ国の観察研究から脂肪に害があるとする考えが提唱されましたが，冠動脈死亡リスクと飽和脂肪の関連には他にも多くの要因が交絡していることは歴然としており，それを信じる研究者は少なくなってきています。

．．．途中略．．．

Westman そしておそらく，炭⽔化物を減らし，飽和脂肪摂取を増加することも良いだろうと思います。飽和脂肪は善⽟コレステロールであるHDLコレステロールを増加させます。卵には飽和脂肪が含まれており，HDLを増加させます。私は卵を制限する必要はないと考えています。

＝＝＝＝ここまで抜粋＝＝＝＝


これまで多くの研究があるが、高脂肪、高タンパク、高炭水化物といった言葉の定義にばらつきがあり、たとえば高脂肪といっても、他のタンパクや炭水化物の条件も大きく結果に影響しており、単に高脂肪というカテゴリーで判断することは正しくないということだ。実験結果の分析は実に難しいということである。


アメリカの著名な研究者の意見として、飽和脂肪酸は制限する必要はないということ。
飽和脂肪酸を良くないとする意見はもはや過去のもの。


飽和脂肪酸を多く含む、卵や肉を食べることをためらう必要はない。
肉卵チーズを積極的に食べて良いのである。

あ～、すっきりした。





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南部徳洲会病院小児科部長　今西康次
小児科専門医、日本体育協会公認スポーツドクター、日本プライマリ・ケア連合学会指導医