高炭水化物食は血管内皮機能を障害し、心疾患リスクが増す
炭水化物の食べすぎが様々な弊害をもたらすことが報告されている。
以下は、
日本経済新聞からの転載。
(6/18)コーンフレークや精白パンが血管内皮機能に障害をもたらし、心疾患リスクを増大
血糖値を上昇させる炭水化物の豊富な食品(コーンフレークや精白パンなど)を摂取すると、血管内皮機能が障害され、心血管疾患のリスクが増大することが新しい研究で示された。また、別の研究では食事の炭水化物を減らすと満腹感が増し、食事量が減ることも明らかにされた。
イスラエルの研究グループによる第1の研究では、健康だが過体重または肥満の35~60歳の男女56人(全員、糖尿病歴、心血管疾患による入院歴なし)を対象に、一晩絶食した翌朝、ブドウ糖、コーンフレーク、高繊維シリアル、水(血糖インデックス [GI] の高い順)のうちいずれかを摂取してもらい、その前後に上腕動脈FMD (flow-mediated dilation: 血流遮断前と遮断再開後の血管内径の変化を超音波で計測)と呼ばれる方法で血管の内皮機能を評価するとともに、血糖値を測定した。各被験者について、期間を空けた4日間で、4種類すべての食事内容での測定が行われた。
その結果、摂取前および摂取2時間後には血糖値に差はみられなかったが、高GI食の摂取後30~90分では血糖値が高かった。FMDはどの群でも摂取後2時間低下したが、高GI食では特に顕著な低下がみられた。このことから、高GI食によって血管内皮機能が障害されると考えられ、健康のためにはGIの低い炭水化物(オートミール、果物や野菜、豆類、ナッツ類など)を摂取するほうがよいと、著者の1人であるテルアビブ大学のMichael Shechter博士は述べている。この研究は、米国心臓病学会誌「Journal of the American College of Cardiology」6月16日号に掲載された。
第2の研究では、米アラバマ大学(バーミングハム)栄養科学教授のBarbara Gower氏率いる研究チームが、食事の炭水化物を少し減らすことによって食後の満腹感が増加するかどうかを検討した。1日のカロリーの55%を糖、でんぷんおよび食物繊維などの炭水化物から摂取する米国人の典型的な食事を「対照」とし、もう一方の群はカロリーの43%を炭水化物から摂取する食事を摂った。満腹感への影響が大きい蛋白(たんぱく)質は両群とも同量としたが、低炭水化物食では差を補うため脂肪をやや多くした。
1カ月後、炭水化物を少なめにした食事を摂った16人は、対照群の14人に比べて血中インスリン値が低く、血糖値が安定しており、食後の満腹感が長時間持続していた。満腹感が持続すれば間食や食事の量が減ると考えられることから、「長い目でみれば、持続的に炭水化物の摂取を控えることは減量にも有用であると考えられる」とGower氏は述べている。この研究は、ワシントンD.C.で開催された米国内分泌学会(ENDO)年次集会で発表された。
関連記事