糖尿病患者での低炭水化物ダイエット
糖尿病には1型、2型の2つのタイプがありますが、ほとんどは成人になってから発症する2型糖尿病です。
2型糖尿病とは、炭水化物が過剰な食事を続けた結果、血糖値を下げる働きのあるインスリンホルモンの効きが悪くなり、血糖が高くなってしまう病気です。軽ければ内服薬で治療しますが、インスリンホルモンが分泌されないような重症例ではインスリンホルモンを毎日注射で補います。
2型糖尿病の人はインスリンの効きが悪い(インスリン抵抗性と言います)ので、炭水化物(糖質)を控えた食事をするのが本質的な治療です。必要以上の炭水化物を食べるから問題が生じるのであって、最低限度の炭水化物にすれば必要なインスリンホルモンも少なくてすみます。言い換えれば、炭水化物を制限すれば薬の量を減らしたり、なくすことができるのです。
先日、何年間もインスリンホルモンの自己注射をしてきた患者さんが受診されました。低炭水化物ダイエットを試したいというご希望でした。炭水化物制限は糖尿病の本質的な治療ではありますが、内服やインスリン自己注射をしている人は導入にあたって慎重になる必要があります。低血糖になりやすいからです。重症な低血糖では意識障害も起こします。
この患者さんは、インスリン自己注射歴が長く、低血糖発作に対する知識も経験もお持ちでした。いろいろ注意すべき点をお話した結果、やはり試してみたいということで、一緒にがんばってみることにしました。画像は低炭水化物ダイエットを始める前後2ヶ月ほどの記録です。
この患者さんは、持続性の中間型を朝晩」12単位ずつ、毎食前に速効型を10単位ずつ注射していました。
低炭水化物ダイエット開始後は、中間型はこれまでどおり、速効型は食事にあわせて0または3単位程度にしたそうです。
グラフを見てお分かりのように、ダイエット開始後の6/5以降の血糖値は良好です。
とくに、朝の血糖値の変化を見てみますと、7日間の移動平均をみると、明らかに血糖値が下がっています。
注射量をかなり減らしているにもかかわらず、血糖値は以前よりも良好です。
炭水化物を制限する代わりに、肉や魚をはじめとして、炭水化物以外の食材は普通に食べています。
血糖値の改善にはご本人が一番驚いておられます。
最後に繰り返しますが、糖尿病にとって炭水化物制限は理論的にも最適です。しかし、低血糖になる可能性がありますので、必ず主治医の指導の下で行ってください。
徳洲会ソフィアクリニック ダイエット外来 今西康次
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