ダイエットには低脂肪より低炭水化物 NEJMの論文より
ダイエットにおける食事の脂質と炭水化物に関する文献を調べてみると、次々と新しい文献に出会う。新しい事実を目の当たりにして、ワクワクの連続である。
まずご紹介したい論文は、2008年7月に発表された、NEJM(The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE)のもの。NEJMは医学分野では最高ランクの雑誌です。
Weight Loss with a Low-Carbohydrate, Mediterranean, or Low-Fat Diet と題された、2年間にわたる研究の報告(論文はNEJMにて公開されています。英語です、あしからず)。
322人を3つの食事のグループに振り分けたランダム試験。3つの食事とは、
■低炭水化物食 -- 低炭水化物、カロリー制限なし、
脂質制限なし、蛋白制限なし
■地中海食 -- 1500kCal(女)、1800kCal(男)、脂質は総カロリーの35%
牛や羊の代わりに鳥と魚、ナッツ類、オリーブオイル
■低脂質食 -- 1500kCal(女)、1800kCal(男)、脂質は総カロリーの30%
コレステロール300mg以下に制限
結果はグラフのとおりで、減量に関しては低炭水化物食が最も優れ、低脂肪食が最も劣っていた。体重以外の身体測定値、コレステロールなどの検査、インスリン抵抗性、血圧など、どの指標についても同様な結果であった。糖尿病の人に関しては、地中海食が勝っている項目があった。
低脂肪食とは、ここ20年間世界中で積極的に行われてきた食事指導で、カロリー制限と脂肪制限が中心の食事である。世の中に低脂肪食品があふれているのは、このためである。後日書く予定だが、低脂肪食によるダイエットが成功していないことは、いろんな科学者が指摘している。
JAMAやNEJMの新しい論文を読むにつけ、これまで行われてきた肥満指導はなんだったのかと、目からうろこの毎日である。
明日は、ダイエット外来プロジェクトのキックオフミーティングを行う。栄養士と看護師からなるチームで、最新理論をきちんと勉強して、肥満に悩める人々を正しいダイエットに導こうと思う。正しいダイエットとは、「よく噛んで食べること」だろうと考えている。無理を強いるとかならずリバウンドする。
ダイエット外来担当医 今西康次
関連記事