どうして太るの?
ゲーリー・トーベス著「ヒトはなぜ太るのか?」から気になった部分を解説します。
今回は86ページあたりの内容についてふれましょう。
米国国立衛生研究所(NIH)は、『肥満は人間が消費する以上のカロリーを食物から摂取すると起きる』といっている。
すごく当たり前の内容ですが、これは単なる事実を表現しているだけで、その因果関係を述べているのではないのです。
つまり、「たくさん食べたから太るのだ」とは言っていないのです。
食べた量が多いのは事実ですが、たくさん食べたというのは単に食べたという事実ではあるが、太ることの原因ではないというのです。
ここに、肥満の難しさと、私たちの常識のいい加減さが明らかになります。
肥満の原因は多岐に及びます。
先ほどのNIHは、「肥満は遺伝子型と環境との相互作用から発症する。複雑で多数の因子が作用する慢性疾患である。社会的、行動的、文化的、生理的、代謝的、遺伝的な因子が総合的に関わっている。」と述べています。
繰り返しますが、肥満の原因は難しいのです。
単に、食べ過ぎたから太ったのではありません。
太るように仕向ける何かが働くのです。
その何かは、多岐に及ぶわけです。
解決できる因子もあれば、どうすることもできない因子もあるでしょう。例えば、遺伝的要因はどうすることもできません。
対処できる因子を探して解決策を探るのが大切です。
この章では具体的に触れていませんが、他の章で解決可能な因子を幾つか説明しています。
その一つが、インシュリンホルモンなのです。
私たちの体を太らせるのは、そうさせる原因があるのです。
その一つがインシュリンなのです。
食べ過ぎはインシュリンの作用の結果として二次的に三次的に起こっているだけなのです。
トーベスの本は読み返すたびに、深い内容であることに驚かされます。
そして、強く感じることは、私がダイエット外来で指導してきたことは、トーベスの言わんとすることに合致しているということです。
解決可能な因子を取り除けば、必ず痩せることができます。
「ダイエット外来の減量ノート」 を自信を持ってお勧めします。
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中部徳洲会病院ダイエット外来医師 今西康次
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