4つの食事法を比較
ゲーリー・トーベス「ヒトはなぜ太るのか?」のコレステロールの章を引き続きご紹介します。
今回は「ATOZ減量研究」についてです。
2007年にスタンフォード大学の研究者によりJAMA(米国医師会雑誌)に報告されたもので、4種類の食事法を比較した有名な研究報告です。
ATOZとは4つの食事法の頭文字をとっている。
Aはアトキンス法:炭水化物(糖質)を減らして、脂肪とたんぱく質は制限しない。
Tは伝統的食事法:炭水化物60%、脂肪は30%以下。これまでの標準的な食事内容に近い。
Oはオーニッシュ法:脂肪を10%に制限する低脂肪食
Zはゾーン法:炭水化物40%、脂肪とたんぱく質はそれぞれ30%
結果は、
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weight LDL-C TG HDL-C BP
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A -9.9 +0.8 -29.3 +4.9 -4.4
T -5.5 +0.6 -14.6 -2.8 -2.2
O -5.3 -3.8 -14.9 0 -0.7
Z -3.3 0 -4.2 +2.2 -2.1
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体重(weight)はアトキンス
LDL-Cはオーニッシュ
中性脂肪(TG)はアトキンス
HDL-Cはアトキンス
血圧BPはアトキンス
が優れていた。
全体的にアトキンス法が優れていることが証明された。
実はこの研究を行ったスタンフォード大学のクリストファー・ガードナーはベジタリアンで、アトキンス方のように肉をたくさん食べる食事は良くないだろうという懸念があって研究を行ったそうである。脂肪が多くても炭水化物を減らすことで良い結果となることに本人が一番驚いたそうである。
ATOZのみならず、最近行われた研究では低炭水化物食が好ましい結果となったいう報告が大多数を占めている。
ATOZの研究者たちは、
「脂肪と飽和脂肪を多く含む、低炭水化物減量食は血中の脂質値と心臓血管系疾患のリスクに有害な影響を与えるという多くの懸念が示されてきた。これらの懸念は、最近の減量食の試験では証明されていない。」と述べている。
低炭水化物食は、脂肪が多いにもかかわらず、コレステロールの値や心臓病の危険性はないということです。
低炭水化物という表現は最近では低糖質という言葉に変わってきました。食物繊維を除いた糖質だけを制限するほうが望ましいからです。
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中部徳洲会病院 ダイエット外来担当医 今西康次
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